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Updated on 2006-02-02
まず, 社団法人 著作権情報センター の著作権Q&Aのなかの 無断でリンクを張ることは著作権侵害となるでしょうか では,リンクはなんら著作権を侵害するものではないとしています.
東北大学の後藤斉氏の ウェブページのリンクおよびその他の利用について でも,リンクを拒絶する権利などないことが主張されています. 以下,このページからの引用です.
結局、公開されたウェブページへのリンク行為はリンク先のページの 著作者の権利 をなんら侵害するものではありません から、 リンクはリンクを張る側の自由意志と 良識と責任とにおいて行われる べきことです。あるウェブページにかりに 「リンク 禁止」という表示があった場合、それはリンクを張ろうとする側にとって 自分の良識に基づいて判断するための 一つの材料にはなりますが、何ら強制力を もつものではありません。
琵琶湖博物館のページに掲載されている リンクについての琵琶湖博物館の考え方 も上と同様の論旨です.
ところで,リンクフリーという和製英語があります.英語で xxx-free といったら xxx がないという意味ですから,link-free は「どこからもリンクされていない」 ということになるのでしょうが,日本語では「ページ作成者の 許可を求めずにリンクしてよい」という意味で使われているようです. このような言葉が生まれた背景には,許可がないとリンクできないとか, 作成者は自ページへのリンクを拒絶できるといった認識があるのでしょうが, 上で紹介したとおり,それは少なくとも法的な根拠を持つものではありません.
というわけで,リンクフリー宣言も,リンク禁止宣言と同様に, 参考程度に聞いておけばよいものです.
. 紙媒体で発表された作品の、ネットワークでの流用について −著作権と出版権をめぐって− では,ネットワーク知的所有権研究会の寺本振透という弁護士さんが,まさに この問題の法律的側面を解説されています.
「著書のインターネット全文公開は暴挙か?」 では,大阪府立大学の森岡正博さんが,絶版になった自分の著作をウェブで 公開するに至った経緯を書かれています.
なお,最近の学術雑誌では,著者本人が自分のサイトや所属機関のサイトで 論文の内容を公開することは認める,とあらかじめ宣言する方向にあるようです.
せっかく書いたものはなるべく多くの人に見てもらいたいのは当然ですから, 論文にしろ,日本語の解説文にしろ,トラブルのないように確認のうえ, 可能なかぎり自分のページで公開していくのがよいでしょう.
自分のページを持つと,どんな文章でも簡単に公開できます. 自分でなにかを翻訳して公開することも容易です. けれども,著作物を翻訳する権利は著作権者がもってます. このことは 著作権法 第2章 著作者の権利 の27条に書かれています. だから,他人の文章を無断で翻訳してウェブに載せたら 著作権を侵害したことになります. もちろん翻訳するだけならなにも問題はありません. 公開するのがまずいのです(参考: 著作権法 第2章 著作者の権利 第30条 私的使用のための複製,第43条 翻訳、翻案等による利用).
無断で翻訳して公開できないから,海外のベストセラーの翻訳権をめぐって出版社が 争ったりするわけですね. 勝手にやってよいなら,だれもお金を出して許可を貰ったりしません. なお,著作権を侵害しても,著作権者が告訴しなければ罰せられることはありません ( 著作権法 第8章 罰則 123条).
プロジェクト杉田玄白は, 著作権が切れているもの,もともと著作権がないもの,勝手に翻訳していいよと 明示されてるものを対象に,どんどん翻訳して公開しましょうという 試みです.
『銃・病原菌・鉄 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』は, 2000年に草思社から出版された翻訳書です (>bk1の紹介,三中さんの書評). この翻訳では,原書にあった Further Readings の部分が削られています.これに怒って, この部分を勝手に翻訳して勝手に公開するプロジェクトがありました. 「Jared Diamond "Guns, Germs and Steel" Further Readingsを勝手に訳して公開する会」です (>会のページ). 経緯はこのページ中の 古い「口上」に書かれています. この会は,勝手に訳して公開する作業を「…翻訳権・著作権侵害にあたります。 協力者はそれに加担することを承知のうえで、犯罪行為の幇助を行うことになります」 と開き直ったうえで協力者を募って,ほんとに公開してしまいました. 「原著者の抗議は考慮しますが、草思社の抗議があった場合にはこれを 黙殺するものとします」とのことです.