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Updated on 26 June 2001


第49回生態学会大会(仙台, 2002)企画シンポ

資源獲得戦略としての樹木の形作り − 「枝葉末節」から本質へ

企画者 竹中明夫(国立環境研) 甲山隆司(北海道大学)


本シンポジウムの目的は,樹木の形作りのプロセスを資源獲得戦略としてとらえた 研究を持ち寄り,樹木の生き方の統合的な理解へとつなげていく方向を議論するこ とである.

動物は空間中を動きまわって資源を獲得するが,植物は空間中に葉や根を配置して 資源を獲得する.植物の形作りは動物のエサ採り行動になぞらえることができる. 生物の生き方を理解するうえで,資源の獲得のしかたを明らかにすることの重要性 は論を待たない.

これまで,植物のマクロな形の機能的な側面の研究は,個体の高さ,投影面積,葉 面積の垂直分布などに注目してきた.しかし近年,とくに樹木の地上部を中心に, 形作りのプロセスにより深く踏み込んだ研究が盛んになってきた.個々のシュートの 茎と葉のバランス,分枝パターン,枝の伸びる方向などを調べ,その資源獲得上の 意義を考える研究である.「枝葉末節」の挙動が樹木の形作りと生き方とに密接に 関連しているとの思いがこうした研究を支えている.

けれども,そうした研究の成果を,樹木の生き方の生態学的な文脈のなかでの理解へ とつなげるのはそう容易ではない.本シンポジウムでは,形態の形成プロセスだけ ではなく,生理的な視点,力学的な視点,モデルによる統合のありかたなども含めて 広い視野から今後の研究の方向をさぐっていきたい.


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