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準備もできた,心構えもできた.どう歩きはじめるか?
多くの入門書では, C言語の古典的教科書(Kernighan と Ritchie の『プログラミング言語C』, 俗に K & R と呼ばれる)の例にならって, hello world ないしはそれに類するあいさつを画面に表示することから始まります. コンピュータにあいさつさせてもあんまり嬉しくはないですが, 自分の書いたプログラムが実行されたことを確かめるられます. くだらない,そんなこと研究の役にはたたない,などと思わずに, ぜひ自分のコンピュータ上で実行してみましょう. 画面に結果が表示されたらおおいに喜ぶべきです. あなたの指示どおりにコンピュータが動作したのですから.
hello world の表示に成功したら,プログラム中の hello world と いう文字列の部分をほかの文字列に変えて,それに応じて違うメッセージが 表示されるのを確かめてみましょう. これから自分用のプログラムを書いていく過程で, プログラムを書いてはその動作を確認するという作業を延々と繰り返す はずです.おっくうがらずに「書いて実行」ができるように,はじめに その作業に慣れてしまうことです.
例題を実行してながら,とにかく入門書の最後まで進む努力をしましょう. 例題を試すのがどうしても面倒になってきたら,途中からは適当にサボっても いいと思います.無理に全部やろうとして,それが重荷になって勉強を投げ出して しまうよりも,とにかく全体をざっとでいいから通読することが大切です. 最後は見出しを追うだけでもよいから,ページをめくってみましょう. こんなことができるらしい,あんなワザがあるようだ,という断片的な知識を 頭のどこかに残すことに意味があります. 実際にプログラムを書きはじめたとき,そのワザがあれば便利な場面に遭遇したら, あらためてそこを勉強しなおします.
はじめてプログラミングを勉強すると,いろいろ新しい概念が登場してきます. 2番目に学習する言語でも,その言語特有の新しい概念があるでしょうが, とにかく最初はなんでも新しいはずです. そういう概念がすぐに理解できなくてもあきらめてはいけません. じっくり考えて,もしかしてこういうことかなと思ったら実験してみます. 実験というのは,こういう理屈ならばこう書けばこうなるはずだ という推論をたてて,短いプログラムを書いて実行してみることです.
どうしても理解できなかったら,とりあえずはあきらめて先に進みます. なにかの拍子に,あ,あれはこういうことだったのか,という悟りが きっと訪れるはずです.幸いにして悟りに達したと思ったら, その理解を実験で確かめましょう.
自分の研究に使うためのプログラムを書くことをおすすめするのが このページの趣旨です. 勉強を始めたら,今の知識で何か研究に使えるプログラムは書けないかをつねに 意識します.一通り勉強してすべてを理解するまで待つ必要はありません. 「2.1 動機」のところでも書いたように, せっかくの知識はどんどん使います.使うことで理解が深まり, その知識が自家薬籠中のものとなります.
書けるかなと思って考えはじめたプログラムが行き詰まり,ここでこんな ことができたらなんとかなるのにと思ったら,それはさらに勉強を続ける ためのとてもよい動機づけになるはずです.答えが見つかる期待感を胸に 先へと進みましょう.これだ!と思ったらただちに自作プログラムに 戻って使ってみます.うまく行けば,またひとつ手持ちのワザを増やした ことになります.