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第21回京都賞記念ワークショップ

森林のパターン:木の視点と森の視点

竹中明夫(国立環境研究所)

生態系をとらえるのにひとつの正しいスケールはなく,近寄って見れば細かいパターンが,遠くから見れば大きなパターンが見えるというのは Levin 博士が繰り返し強調されているメッセージである.たとえば森林を大きな空間スケールで見れば,緯度に沿った環境の変化とともにその様子が変わっていくことが分かる.山の高さに応じた変化にも気がつくだろう.また,長い時間スケールでながめれば,氷期,間氷期の気候の変化に応じて森林の分布が移動するようすも見えるはずだ.もっと近づいて見れば,こまかな地形に応じた木の種類の違いも分かるだろう.このような森林のさまざまなスケールのパターンは,一本一本の木の成長や生死,種子の散布などプロセスと密に関連しているはずである.この講演では,木々の生活のプロセスに注目する視点と森の構造のパターンに注目する視点とをシミュレーションモデルを使ってつなげる研究を紹介する.とくに,多くの種が共存するしくみの仮説と検証を中心に述べる.


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