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点過程解析用プログラム ppa-L:L関数の値を計算する

Updated on 2001-10-11

L関数と同様,空間内の点の分布パターンの特徴を定量的に抽出する 指標に pair correlation 関数があります.こちらのほうが L関数よりも 解像度よく特徴を取り出せるので,おすすめです. Pair correlation 関数計算プログラムのページ も作りましたので ぜひご覧ください(30 November 2004).

点過程解析は,平面上(にかぎらず,任意の次元の空間でもよいのですが)に 散らばっている点のパターンを解析するひとつの手法です. 点の分布パターンにもとづいてある統計量(pair correlation関数, K関数,L関数など)を計算し,点がランダムにばらけているのか, 集中分布をしているのか,あるいは排他的に均一分布しているのかを 解析するための手がかりにします.

これまでにも,調査地をさまざまな大きさの区画に分けてその中に 含まれる点の数から点の分布パターンを表す指標を計算する手法が いくつか提案され,使われてきました. こうした手法と比べて,点過程解析は,区画の切り方に依存せずに すべての点の位置関係を利用して分布の特徴を抽出するという特徴が あります.

最近, 統計数理研究所 の島谷健一郎さんが日本生態学会誌に点過程の解説と 樹木の分布パターンの解析への応用についての総説を書かれました. これを勉強して計算用プログラムを作ってみました. 二次元平面上の点の位置データを読み込んでL関数の値を計算するものです. 計算時間は,わたしの500MHzパソコン上で,1,000 点で1秒ほど, 5,000点で30秒足らずです.計算時間は点数の2乗に依存します.

L関数は,ある点から一定距離以内にある他の点の密度の指標みたいなものです. 点がランダムに分布してたら0,集中してたら正の値,排他的に(均一に) 分布してたら負の値をとります. 計算例のページ もご覧ください.

L関数の値から分布が有意にランダム分布からずれているかどうかを検定するには, まず,ランダムな点の分布パターンを人為的にたくさん生成します.このパターン について計算したL関数のばらつき具合と,測定データのL関数の値とを比べます. 測定データの値が,偶然に得られそうなL関数の値の範囲からはずれているか どうかを調べて,ランダムに散布されているという仮説が棄却できるかどうか 判断します.人為的に生成したデータから計算した L関数のばらつきのようす もご覧ください.

詳しいことは島谷さんの総説を読んでください. あと,2000年の生態学会47回大会での自由集会 「計算生態学」 (企画者:久保拓弥さん) で,名波哲さんがL関数を使って樹木の分布パターンを解析した結果を 紹介されています.そのときの 発表資料 も参考になります.

※点過程についてはにわか勉強をしたばかりですんで,変なことを 書いてるかもしれません.お気づきの点はぜひご指摘ください. 興味を持たれたら,ぜひ参考文献に直接あたってみてください.



参考文献