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2002年8月

2002-08-28

生態学会50回大会の公式ページに, 巌佐学会長の INTECOLの報告と東アジア生態学会ネットワークの設立 についての文書を載せました. いわゆる国際化の波ですね.

リンク集の 生態学関連情報 に, GPSの森 を加えました.京都大学(中略)生物圏情報学講座のページ内にあります. GPS受信機の評価のページ GPS FAQのページ は特に有用そうです.

2002-08-27

Trends in Ecology and Evolution の最新号に, "Linkages between stream and forest food webs: Shigeru Nakano 's legacy for ecology in Japan." という記事が載っていました(17:429ー434). 中野繁さんは,2000年3月にカリフォルニア湾での海難事故で亡くなられた 生態学者です.37才でした (>事故についての 京都新聞の記事). 1999年4月の生態学研究センター・ニュースに掲載されている 中野さんの着任のあいさつ, イワナ、フィールドステーションそしてモンゴル は"青い"ほどに熱い文章です. 1年後に待っているものを考えながら読むと,なんか切ない.

2002-08-26

このところ,森林の多種共存メカニズムについて考えたり勉強したり モデルで実験したりしてます. ちゃんと考えればもっと見えてくるものがあるはずと思いつつも, じゅうぶんに働かない頭がもどかしい.

これまでの研究を羅列的でなくきれいに整理している総説を読むと, 気分がよくなります. D.Tilman (1999) Diversity by default. Science 283:495-496. はとても短いけど,要するにどういうことかがはっきり書いてあります. ここまで短くできるのは深く理解していればこそだなあと思いました.

S.J. Wright (2002) Plant diversity in tropical forests: a review of mechanisms of species coexistence. Oecologia 130:1-14. は,きちんとした枠組みを立てて,その中にたくさんのデータを 整理して位置づけ,それぞれの意味を論じています. 混沌のなかから秩序が見えてきて嬉しくなる感じです.


先週紹介した私の 「はっきり言って甘い!」デスクトップ ) に,「耳が痛いを通り越して怖かったです」 との反響をいただきました.実物はこの2倍なので,もっと怖いです.

2002-08-23

一昨日,職場で心肺蘇生法の講習を受けました. 呼吸や心臓が止まった人の応急処置です. 心停止から3分で死亡率は50%になってしまうけど, 救急車の到着まで平均6分かかる,だから周囲の人の応急処置が 生死を分けるのだそうです.

心肺が止まってる人に人工呼吸したり心臓マッサージしたりするのは, 心臓や呼吸を回復させるためよりも,酸素がないとたちまち死んでしまう脳に, 酸素の入った血液を送り込むためなんですね.はじめて理解しました (参考:消防庁の 応急処置 心肺蘇生法のページ ).

論文を書く意志の話のつづきです. ”「書く意志はある」と反発する方もいるかもしれませんが、 はっきり言って「甘い」!” という喝に意を新たにしたのですが,きっとすぐに忘れてしまうので, 壁紙に書いておきました. 作業中のウインドウを閉じて壁紙があらわれるとギクっとします (>今のデスクトップ).

2002-08-19

PIYのページを久しぶりに更新しました. プログラミングの勉強とは何について 勉強することか についての短い文章を載せました.

とあるメーリングリストで,「これから論文を書く若者のために」(酒井聡樹著) の書評を発端にして,論文を書けない・書かない若者はどうしたらよいのか 議論が続いています. 酒井さん自身の投稿の中で,コツや技術以前の問題として

などがあるんでは,という指摘がありました.
「書く意志はある」と反発する方もいる かもしれませんが、 はっきり言って「甘い」! 論文を書き、それをアクセプトさせるためには、相当の強い意志が必要です。「100m を息継ぎなしに泳ぎ切ってやる」くらいの強い決意が欲しい。
と一喝されて,びくっとしました.そうだ,私も甘かった.大甘だ. 納税者のみなさん,ごめんなさい.

論文書きの議論からはそれますが,上の指摘は,プログラムを書けるようになりたいと 思いつつ踏み出せない,あるいは挫折するパターンともよく似てる気がします. 論文を書くよりはプログラムを書くほうがずっと簡単だとは思いますが.

2002-08-16

論文書きに向けて勉強中です. 論文を読みながら,大切そうなところ,引用したいところ,表現をまねしたいところは コンピュータに打ち込みます.
時間がかかると思うかも知れないが,ノートをとるよりも速く理解したり 覚えたりすることはできぬものである.(白上謙一 1972)
なるほど.

2002-08-14

幸いにして眼前にさしせまった締切はなく,勉強したり, シミュレーション計算の結果を解析したり,書き物をしたり, 諸雑務をしたり,9月のフィールド調査の想を練ったりという日々です.

以前から公開していた「研究者のウェブページ もっともっと書いて!」という 文章は,タイトルがなんとも締まらないのが気になってました. このたび, 研究者がウェブで語れば皆が楽しい と改題し,内容も少々加筆しました.あいかわらず あんまり締まらないタイトルなんで,そのうち再改訂するかも知れません.

2002-08-09

きのう紹介した辻和希さんの文章 (日本動物行動学会 Newsletter No40 p34〜) には,
大学院生の頃,指導教官だった伊藤嘉昭 氏に「最初からすばらしい論文を発表しようと思 うな。むしろ自分の論文がすばらしいと評価され るよう後で宣伝しろ」といわれたことを思い出す (記憶が曖昧なので,発言内容に関する責任は私に ある)。
とあります. 伊藤嘉昭さんの「大学院生・卒研生のための研究法雑稿」 (1986, 生物科学 38:154-159)に曰く
若き学徒が研究者の道を踏み出し,夢中でやった最初の仕事こそ,ふつうその人の 最良の仕事なのである.自分の仕事のどこがユニークかを良く考え,それ以降の研究 においてそれを力を込めて発展させること,そして上手な発表(執筆,シンポジウムなど でしゃべらせてくれとの申込みなど)によってそれを内外に 知らせることが必要である(私はこれを「ナルシシズムのすすめ」といっている).
いつまでも最初の路線一筋がよいとも限りませんが, 自分の仕事の価値をきちんと理解して宣伝するのは大切でしょうね. 価値がないものをごまかして宣伝してもしょうがないけど.

2002-08-08

一昨日の「アクセス向上依存症」ネタの続きです. アクセスカウンタは数字がはっきりとでる一種の評価です. 自分に自信持てない時ほど他人の評価が欲しくなりますが, アクセス数に一喜一憂しすぎると,かえってストレスになりそうです.

ところで,論文の被引用回数もアクセスカウンタに似ています. 「これから論文…」の辻和希さんによる書評には, 研究者は論文を書きっぱなしにしないで,その成果を世に知らしめる努力を もっとするべし,いう話が書かれています(>日本動物行動学会 Newsletter No40 (PFD, 163 kb) の34ページ〜).

2002-08-06

「アクセス向上依存症」という言葉があります (> アクセス向上依存症を克服しよう! ). この依存症になると, 自分のページに置いたアクセスカウンタの数字の増え具合が 気になって気になって10分おきにチェックしたり, 過剰な宣伝でまわりに迷惑をかけたりします. なんのために作ったページかを忘れ,アクセス稼ぎが自己目的化します. 私も気をつけよう.

ところで,上記のページからリンクされてるページ アクセス向上にアクセクしない方法 では,トランプの大貧民になぞらえてアクセスの貧民(10アクセス/日以下) から大富豪(300アクセス/日以上),さらには お化け(10,000アクセス/日)までのクラス分けが紹介されています. 個人のページは,1日25アクセス程度の「小市民」レベルでよしとすべし, 一日50人以上のアクセスがあれば「成功者」レベルだとのことです.

2002-08-01

リンク集の 生態学関連サイト のセクションに,岐阜大学の 村岡裕由さんのページ を加えました.公開開始したばかりのページです.研究内容の紹介のほか, 「学生とのつきあい方,年上の共同研究者や指導教官とのつきあい方」 と題する文章が載っていて,なかなかおもしろいです. ”スタッフや先輩は,こういうことをしてはだめ”という記述の背景には, 反面教師と(以下略)
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