海外の知り合いの研究者から,日本学術振興会の 二国間交流事業 に応募してみないかというお誘いのメールが来た. 植物の形と機能のモデルという共通の興味がある研究者だ.
こんな誘いがあると,外向けの顔と研究所内向けの顔とのちがいが意識される. 外からの「いっしょに仕事しましょう」というお誘いが, 所内での担当業務に照らすと「遊びましょ」的な位置づけになってしまったりする. 今度の話もそうだ. さいわい,100% 担当業務に集中せよというような環境ではないので, 研究としておもしろそうなことには自由に手を出している (そいういう自由度がない研究所だったら,こんなに長居はしてないだろう).
とはいっても,時間の割り振りに頭を悩ます今日このごろ. どうしようかと思いながら研究所内の連絡掲示板を見てみたら, 所内の締め切りに間に合わないことが分かった.じゃあしょうがないね. 迷うまでもない.また別の機会にというお返事を書いておく.
組織には○長だの△△長だのといった役職がつきものだ. 長がつく人が出てくる話は,組織の業務にかかわる話で,いっぱんにあまり楽しい ものではない.
漢字が並んで最後に長がついたタイトルのメールをいただいた. 「長」の字に反射的にたじろいだが, なんか印象が違う.落ち着いてよく見ると「伏見甘長」と書いてあった. ”あまなが”ならいいですよ. 先日, 伏見甘長を焼いてる写真 を見た人からあれ何ですか?と聞かれたので,10本ほど進呈した. その試食報告のメールでした.それなら大歓迎.焼いて醤油をたらして食べたところ, へたのあたりの辛みもほどよく,美味であったとのこと.他の人からは,ジャコと 炒めたらおいしかったというレポートもいただきました.
業務のあいまにシダに逃避する.これまで職場で9種類を識別し,うち 8種類の名前がほぼ判明した.どういうところにいるか探しながら見て回ると, 生き方のヒントも得られる(人生のじゃなくて,シダの).
来週は遅まきながら夏休みで,水曜まで不在です.
ひとつの業務がほぼ終わりそうで安心たところで, 別の業務であまりに不注意な失敗をしてたのに気がつく. いったい何を見てたんだとわれながらあきれつつ, 一番の関係者にあわててお詫びとご相談のメールを送る. こうして人に迷惑をかけながら生きていくのは哀しい. ちょっと引きこもりたい気分だ.
いろいろやることは山積しているのに,今朝はちょっと R の練習をしてしまう. こんな計算をしてみる(> コード ). T が D を最終的に上まわる確率は 0.8422984.ほぼ 85% か. 悪くないけど,15% の確率でひっくりかえるわけね… なお,S を上まわる確率は 0.993762 ,G だと0.999991 です (> 参考ページ ).
こんなだれの役にも立たないコード書いてないで,ちゃんと解説ページを書かねば… と思いつつ,まずは目前に締め切りが迫った業務にとりかかる.
つくばエクスプレス は明日開業.つくば市にはこれまで電車の駅がなかった. 少ない本数のバスに乗って,土浦市や牛久市の常磐線の駅まで行くしかなかったのが, つくばの中心地から秋葉原まで電車が通じる.
けさの出勤時に,宿舎のわきに生えているシダを見て,ちょっと手にとって 「イヌワラビ」とつびやく.うれしくて,思わずホッホッホと笑ってしまった. 新しい世界が見えてきたよろこびと言いましょうか. イヌワラビが分かるというのは,たぶん杉が分かるとかイチローが分かるとか いった程度のことなんだけど,やっぱりうれしい.
今は昔,たしか私がまだ大学院の学生のころに, 研究テーマの選び方について考えたことをふと思い出した. だから今どうしようというわけではないけれど,せっかく思い出したのでメモ.
卒論や修士課程で研究をはじめるときは平地から出発する. 1年,2年とひとつのテーマで研究を続け,やがて小さいながらもひとつの 山のピークに至る.そこから見渡すと,尾根続きで行けそうな隣の山が見える. 次はそのピークを目指すなら,これまでに登って稼いだ高さを活かせる. そこに行ってみれば,さらにその先に連なるピークも見えるだろう. そうして歩き回っていれば,その山塊のスペシャリストになれる.
でも,そういうテーマ選びを続けていると幅はかぎられてくる. そもそも自分が登ってる山はほんとに登りたい山なのか,単に現在地から 行きやすいから登ってるだけなんじゃないか,てなことを考えたわけです.
アクセスのしやすさは置いといて,あらためてあたりを見回すと, 最初に歩き回った山塊とは別のところに魅力的な山脈が見えるかもしれない. また下から登りなおすのは大変だが,はじめの山歩きでつちかった 体力と経験は活かせる. ときには山からおりてみたほうが楽しいかもな,と思ったのでした.
少しずつシダを勉強中.しろうと目にはみな同じように見えるシダの種類が, だんだんに見分けられるようになっていくのだろうか. 人間のパターン認識力ってすごいからな. 何千人の顔も区別できるし.それに比べれば日本産のシダ 600種というのは たいしたことない(ような気もしないでもない). 見えなかったものが見えるようになるのが楽しみだ.
今月最後の週,28日から31日まで夏休みとすることに決定. 今月のお仕事は来週一杯で終わらせないといけないということか.
朝食前に畑にいって,ゴーヤ,ナス,オクラ,ミニトマトを収穫. ことしはほんとにナスがよく取れる. はじめて試した伏見甘長(ふしみあまなが)は,焼いて食べると なかなかよろしい( 朝食の準備中 ).
ひさしく放置してしまった R ページ にはげましのメールをいただく. まずい.自分がいちばんよく分かってなかったところを書いてしまったもので, テンションが落ちたきらいがある.分かっていないところほど, 調べて咀嚼して整理して書くことで自分の得るところが大きいものだから,気合いが入る. とはいえ公開している以上は中途半端はいけませんね.少しずつ書きます.
生態学者が特定の調査地(仮にカリン島と呼ぶ)を決めて研究するとき, おおざっぱに言って,カリン島_を_研究する立場と, カリン島_で_研究するという立場がありそうだ. カリン島のことを知りたいと,カリン島にはまりこんで研究するのか, 一般的な問題意識があって,その追求の場としてたまたまカリン島を選ぶのか, ということ.もちろんはっきりした境界があるわけではなく,連続的なものではある.
わたしはこれまでカリン島_を_研究したことがない. そんな立場でカリン島に立つと,多少の引け目を感じる. いっぽう,研究を論文にまとめるときには,カリン島のことを知りたいからという 意義づけだけではなく,つねに一般的な文脈のなかにおくことが求められる. いくらカリン島への強い思い入れがあっても,それだけでは学会で認められない.
たぶん,カリン島_を_研究しても,カリン島_で_研究しても, その成果は普遍的な意味もあるだろうし,カリン島の理解にもつながる. カリン島_で_研究する研究者を「おまえにほんとのカリン島の姿が分かるか」 となじるのも, カリン島_を_研究する研究者を「カリン島のことだけ分かりゃいいのか」 と批判するのも,了見が狭いというものだろう.
似たようなことは研究材料の生き物についても言えそうだ. その生き物への愛ゆえの研究か,材料としての使いやすさゆえに選ぶのか. もっとも,材料として長く付きあううちに愛が芽生えることもあるだろう.
雨がふったら調査は休みにできれば楽だけど,日程のつごうでそうも言っていられない ことも多い.雨のなかで調査記録をとるとき,濡れた紙の書きにくさにいらいらする. ええいと鉛筆に力を入れると紙が破け,さらにいらいらが募る.そんなあなたに耐水紙.
先日の屋久島では, アクアフリーペーパーという耐水紙に これまでの記録だの温度ロガーの設置地点の地図だのをコピーしていった. これで雨が降っても大丈夫というつもりだったが,ずっと雨に降られていると, だんだんに水がしみて,ボロボロになってきた.
もっといいものないかなあと思っていたところ,別の耐水紙のサンプルが手に入った. 日清紡で作っている合成紙 ピーチコート紙.アクアフリーペーパーは紙だけど,こちらはプラスチック製だ. 水に一晩つけておいたがまったくしみない.レーザープリンタでの印刷も問題なし. ただし表面がつるつるしているためか,鉛筆で書いたときの線は薄い.
野外での書込みがおもな場合にはアクアフリーペーパー, これまでの記録を印刷してフィールドで持ち歩くにはピーチコート紙がむいていそうだ. アクアフリーペーパーが濡れすぎて紙が弱ってきたら新しいのにかえればよいだろう. 値段はピーチコート紙のほうが4倍ぐらい高くて,A4 一枚あたり40円近い.
先週は,職場で献血した.献血手帳の記録によれば今回で40回めになる (昔は 400 ml 献血が2回にカウントされてたので実際の回数はもう少し少ない). 自分が人様のお役に立っていると感じられる数少ない機会だ.
職場のアカマツ林の林床で咲いていた コオニユリ.写真を撮ったのは先週の木曜日.その後,林床の草刈りが入って 全部刈り取られてしまった.生前の姿を写真にとどめることができてよかった. といっても地下部は健在であろうけど.
人の○○を△△してばかりいるうちに,自分も○○を※※したくなって, ※※してみた.楽しかった (なんのことやらぜんぜん分かりませんが,本人はこれだけ書いて少し楽になった. 見逃してください).
京都賞の基礎科学部門の 今年の受賞者 は,Simon Levin氏.11月の授賞式のあとにあるシンポジウムでは,Levin氏のほか 日本の研究者数名が話をする.私もしゃべらせてもらいます. Levin氏の業績を受けた枕をふってから,あとは自分の研究の話を自由にしてくれ, というのがシンポ司会者の依頼である.で,自分の持ってる文献のデータベースを 調べたところ,氏が筆頭著者の論文を一本も読んでないことが判明. 共著は何本も読んでるのだが.
これはまずいと,The problem of pattern and scale in ecology (1992) Ecology, 73:1943-1967 を読むことにした. 環境関係で 1990年代にもっともたくさん引用された論文なんだそうだ ( in cites interview). これをコピーしたのがいつのことだったか.机の上に置いてあったり, ザックに入れて通勤のお供をさせたり,屋久島まで往復したりしたあげく, ようやくきのう読みました. 生態系を記述するのにひとつの正しいスケールなんてない,というのが 10回ぐらい(はおおげさか.でも5回以上なのは確か)繰り返されていた. 観察するスケールによって見えてくるものは違う,パターンとプロセスの研究は つねにスケールを意識せよ,というのがメッセージ.
きのうの午後も 33 度の研究室で楽しいプログラミング. くそ暑さのなかでもやる気がするかどうかで,その作業が好きかどうかが 測れる気がする.
家にも冷房はない.室温 32度で寝ると,いい汗かいたという充実感とともに 目がさめる. 一晩で体重がだいたい 1キロ減る.1リットルの汗か. 早朝は 30度ぐらいまで下がっていてすごしやすい.
今日も調査の記録の整理,調査用品の片付け,次の調査にむけての仕込みなどで 過ごすことにする.購入機材の選定も.「調査から戻ったらやります」仕事は あしたから.
ほぼ身についた言語は簡単には忘れないが,半端にしか身についてない言語は どんどん細部を忘れていく. 屋久島からの帰路で思いついたある計算をささっとやってみようと思い, きのう久しぶりで Ruby を使ってみた.半日ぐらいでできるつもりが, なかなか思うように動かない.しょうしょう込み入った部分を中心にさぐる. さんざん悩んだ末に原因が判明.明示的に文の終わりを示す記号がない Ruby は, 原則として改行コードまでをひとつの文と認識する. これを忘れていたので,X = a + b を計算するつもりで X = a を計算していた. はやりのフレーズならまさに orz だ.
で,きのうできなかった計算を今日やっている.土曜日は冷房が入らないので 現在の室温は 33 度.楽しいプログラミングならできるけど, 出張中にたまっためんどうな仕事はする気にならない.週明けまでおいておこう.
さらに亜熱帯気分を盛り上げるべく,コンピュータの壁紙も
ヒカゲヘゴ
にしてみる(ヒカゲヘゴでなくてヘゴでした.
ご指摘ありがとうございます>
矢原さん
).
昨日,屋久島から戻った.山中で どしゃぶり雨 にふられたり雷がなったり ヒルにあちこち食われたりしながらも事故はなし(ヒルに食われた跡の毛脛の写真も 載せようかと思ったけど,見苦しいのでやめます).予定作業の6割ぐらいしか できなかったので,残りはまた次回.でも,あたらしく思いついた作業ができたのは収穫. ディスカッションがいろいろできたのもよかった. 林内ではランがいろいろ咲いていた.葉がなくてにょっきりと花茎を伸ばす腐生ランも( イモネヤガラ.専門家による鑑定済み). 何年もかけて土のなかのイモが大きくなって,あるとき地上に花茎が現れる, セミみたいなやつだ.