庭でディルの花が咲いている(写真). ディルはセリ科のハーブで,魚によくあうとされる. ロシアではごくごく普通に使っていた. 今でもディルの香りをかぐとシベリアの日々が 脳裏にうかぶ.匂いは記憶の奥深いところに働きかける. 漂白剤の塩素の臭いは,水泳をやっていた高校時代を思い出させるし, 落ち葉焚きと線香の香りは,子供のころによく行った,母親の生家のお寺を思い出させる.
伊豆で温泉につかりながら思いついたこと. 5年で管理職をやめられるのか,やめさせてもらえないんじゃないかと 恐ろしいことを言われることがあるが, やめさせてもらえないなら研究所から退職してしまえばよいのだ. アルバイトしつつ,どこかの大学の研究生にしてもらい,お金のかからない研究をする. さいわい生態学にはそういうテーマがいくらでもある.すばらしい. そう考えれば恐いものなし.
シダの分布図を見ていると,分布が東海地方から西とか,南関東から西という種類が 少なからずある.明日からの伊豆では,つくばで見かけない種類がいろいろ見られそうだ. ところで, 鈴木牧さんが,生き物の名前を覚えるということについて書かれた 「ビューティフルネイムズ」は秀逸.
……相手が人だろうが植物だろうが,名前を知ることで一対一の関係がはじまるわけだ. だから名前は重要なのだ.「名もない花」は一時の感動を与えるかもしれないが, 長くつきあい多くを学ぶことは出来んのですよ.(「ビューティフルネイムズ」より)
共感するところ大.生き物の名前を知らずに「生物多様性」というキーワードだけを 振りかざしても,なんだかなあ.
ミュージカル『ウエストサイドストーリー』で,一目で恋に落ちた彼女の名前がマリアだと 知ったトニーは,なんて美しい名前だと賛美の歌を歌い上げる(『マリア』). 逆に,互いの名前を知らぬままに別れる二人という設定は小説でも映画でもいろいろありそうだ. 名乗らないことが,その場かぎりの付き合いであることを象徴している
庭のクチナシ. 花は八重よりも一重が清楚でよい.おしべ,めしべもちゃんとしてるから実ができて, きんとんの色付けに使えるし.
おとといは茨城県の御前山へ.すぐに何かの調査を始めるというわけではないが, シダに目を慣らし,生き方が見えてくることを期待して (私の生き方ではなくてシダの). なんにも分かりませんという状態からのスタートだったが, 少しずつは進歩している. 今回は30種類ぐらいは識別できた 生き方の個性も少しずつ見えてきたかも. 写真は林道沿いの崖に生えているシダ. フラッシュを使ったのでやや平板的なのが残念.
帰りがけ,林の中を尾の長い黒っぽい鳥が飛んでいるのが目に入った. サンコウチョウ.生まれて初めて見た.目頭が熱くなった. さえずりを「ツキヒーホシ,ホイホイホイ」と聞きなすことから,月,日,星で三光鳥. 静岡の県の鳥で,ジュビロ磐田のエンブレムにも描かれている. 感激が醒めぬままに研究所に帰る. 近くにいた植物生態学者に「サンコウチョウ知ってる?」と聞いたら, 「さんこーちょー?鳥ですか?」と聞き返されて撤退.
日曜から二泊三日で温泉へ.シダも見られそうだ.
日々の業務に追われるばかりでは,どんどん発想が痩せていく気がする. というわけで,明日はとあるフィールドへ.いろいろ見て回ってネタを探すのが目的. お目当てはシダです.
庭のキキョウが咲いた.
紫の花はたいてい青っぽく写る. キキョウはもともと青っぽいので,この写真もほぼ実物に近い色になっているが, それでもやや青みが強い. カメラは青,緑,赤の組み合わせで色を記録する. 青と赤の波長の光が混ざった紫ならば,カメラ側も青+赤と記録できるが, 紫色の波長の光には,青を感じるセンサーは反応するが赤のセンサーは反応しない. そのため,実物よりも青っぽくなってしまう……ということだそうです (>参考). 青く写る紫の花は,青い色素と赤い色素を混ぜたのではなくて, 純正の紫色素を持っているということか.
輪読会のレジュメが ウェブに載ったとたんに, ある方からメールをいただく.私が担当した章の内容が, 自分のデータ解析と関連ありそうだ,ベイズが活かせるかも,というお話. こういう反響はうれしい. やはり書いたものは極力ネットに載せるべし.
水曜日から毎日なにかしら会議.来週の月曜も. 今日は研究所外の方にも委員をお願いしている会議なので, Gパン,Tシャツ,サンダルという通常モードより多少フォーマル度を上げる.
お手元用眼鏡のレンズを,やや度の強いものに交換.論文がだいぶ読みやすくなった. このごろは眼鏡がないとほとんど文盲状態である. まわりの人に,これなんて書いてあるのと聞く始末. 年寄り笑うな,行く道じゃ… などと言うと,若輩が何を言うかと先輩方に笑われるか.
庭では コールラビがふくらんできた.そろそろ食べ頃だろう.浅漬けにすると美味.
きのう,おとといは,1泊2日で Hierarchical Modelling for the Environmental Sciences の輪読会.ひたすら階層ベイズの話が続く. 聞くところでは,この本の編者が大学院で階層ベイズの話をしたときに, 受講者になんでもいいからベイズを使った解析をせよという課題をだして,そのなかで できがよかったものを集めて作った本だとか.たしかに「ベイズじゃなくてもなあ」 という話もあった. ベイズじゃない話がごちゃごちゃ続く章では,途中でベイズの式が出てくるとホッとするほど ベイズになじんでしまった.大変勉強になりました.お世話をしてくれた 角谷さん が,近日中にみなのレジュメを集めて ウェブに載せる予定.
明日,あさってと,泊まりがけでベイズ統計勉強会.階層ベイズが中心だ. 先日の勉強会 は,この本番にむけてのミニキャンプであった. きょうはせっせとレジュメを作る.それだけでじゅうぶんに頭の芯が疲れた. 明日は熱が出そうで楽しみだ.
庭では,春の野菜はいずれも好調のまま終盤を迎えている. ソラマメやスナップエンドウはすでに撤去.先日ためしに一部収穫した 紫タマネギ は, 昨日すべて掘りあげた.約40個. カブは食べるのが追いつかず,どんどん成長していく.きのう収穫したのは, 重さが約900グラム.浅漬けにするためにきざんだら,ますます体積が増えて圧倒された.
職場の敷地の隅にある木立の下に,ヒメシダの群落があった. 明るい緑が一面にひろがっている.その感じを少しでも出そうと思って, いつもより横長にトリミングしてみた (写真). 地下茎を伸ばして広がるので,みっしりとした群落を作る. 葉はみな木立の外の明るい方向に向いている.そのほうがたくさん光を受けられるから. 写真は木立の外から見て撮ったので,葉の面がそろってカメラのほうを向いているように見える.
6月4日は虫歯予防デー. 私は生まれつき歯が弱いようで,いくら磨いても虫歯から逃れられなかった. 挿し歯,被せもの,詰め物など,もはやすべての歯に人手が入っている. 大臼歯は5本しか残っていない.
庭の ムラサキシキブ が咲きはじめた.秋になると紫の実が実る.それで思い出すのは…と, 学生のころの日光での思い出を書こうと思ったが,なんとなく以前に書いたような気もする. 「様子の目次」 ページで検索したらやっぱりあった (2005-12-21). ほんの1年半前じゃないか…
はや6月.庭のフェンスにからまるクレマチスが,大輪の花をつけている. 地味な花をみつけて喜んでいた目には,こういう花はこれ見よがしに感じられ, カメラを向ける気にならない.素直じゃないな.