この春は、アセビの花の付きがよい気がする (写真)。
あちこちでヒサカキのつんと鼻をつく臭いがする。周囲を見回すと小さい花をみっしりとつけている。 ヒサカキは雌雄異株。 写真は雌花で、雌しべの先端が見えている。
いよいよ5年間の最後の1日。 ハードディスクの中だの、机の回りだの、さまざまな業務だの、 いろいろ片づけてすっきりしたいが、なかなか進まない。
最初に庭に一株植えたら勝手に種子が飛んであちこちに生えているオキナグサが、 今年も花を咲かせた (写真)。 カメラを持って庭を歩いているとき、ジンチョウゲにアカタテハが飛んできた (写真)。 アカタテハは成虫で越冬するという。 この個体も冬を越したものだろう。よく耐えた。
つくばのガソリン事情はすっかり平常に戻ったようだ。 スタンドは普通に営業していて、給油待ちの車の列はもはや見られない。
毎日、高エネルギー加速器研究機構が公開している つくばの放射線線量をチェックするのが 習慣になった。 23日以降、新たな飛来はほとんどないのか、徐々に減衰している。 大元のところの事態の収束を願うのみ。
庭でバイモが咲いている (写真)。 葉の先が巻いている様子がおもしろい。 中国原産で、江戸時代に入れたものだとのこと。 クロユリと同属。
起きている現象が、既知のメカニズムで説明可能だと分かれば、 あらたに何がが起きたら(たとえばこれだけ放射性物質が漏れたら) どんな結果になるか(たとえばある場所で何がどれだけ検出されそうか)が 予測できそうだと考え、ある程度安心できる。 すべてが予測不能という状態より、ずっと対応も考えやすくなるし、自分自身で なんらかの判断もしやすくなる。 でも、いくらメカニズムが分かっても、汚染源がどうなるか次第で周辺の状況は変わるというのでは、 まったく参考にならないのではないか、と考える人もいる。 仕組みが見えないまま、だれかが安全とか危険とか言うのを待ってるより、 ずっとましだと思うのだが。
今、花が咲き始めている落葉樹は、いずれも葉が出る前に花だけ咲かせるもの。 職場の構内ではヒュウガミズキ (写真)が咲いている。 コブシは今にも咲きそうだ (写真)。 早まって葉を出して霜にやられると、あとの光合成ができなくなってダメージが大きいが、 花がダメになっても、その時がっかりすればよいだけ、ということだろうか。 見ていると花そのものがけっこう寒さに強い印象もあるが。
東京ヤクルトスワローズ・宮本慎也氏の 「僕らとしては、こういう状況だけど、野球をやらせていただきますという姿勢になる。」 という言葉にとても共感。 私もかっこをつけて、「こういう状況だけど、これしかできないので、研究をやらせていただきます」 などとつぶやいてみる。 ほかに芸がないので、この芸に精進して、おひねりをお願いできるだけのことをしないと。
今ごろは、管理職の残り任期のカウントダウンを楽しむ日々のはずだったが、 すっかりそんな気分は吹き飛んでしまった。 連休中に少し心を落ち着けた。 生け花に何の心得があるわけでもないが、庭の木の枝を花器に投げ込んでみた (写真)。
つくばはガソリン入手困難な状態が続いている。 多くの休業中のスタンドと、延々と行列ができている少数のスタンド。 そのためもあってだろうが、あきらかに車の交通量が減っている。
茨城は被災地だということで計画停電対象からはずれたものの、 節電は必要だ。 むやみに萎縮することはないが、 同じことを少ない電気ですませる工夫はいろいろできる。 まず、ガスが使えない研究室で、電気保温ポットを使うのをやめ、 旅行用の投げ入れヒーターを持ってきた。 コップ一杯の水が数分で沸騰する。 電気保温ポットだと必要以上に多量の水を沸かす (今使うだけの水を沸かして使い切るなら、そもそも保温機能は意味がない)。 また、つねに暖かい状態を保つのは無用にエネルギーを消費する。 熱のロスは、外気温と水温の差に比例するはずだから。 投げ入れヒーターなら、必要最小限の水を、必要最小限の時間だけ加熱するので無駄がない。 すばらしい。
北茨城のホウレンソウで、暫定基準値を越える放射能(モノはヨウ素131)が 検出されたという。きっとホウレンソウの買い控えが起きるのではないか と思ったのだが、スーパーに行ったらそもそもホウレンソウを まったく置いていない。なんてこったい。 煙草はそこらじゅうで売っているのに。
昨夜は月が明るかった (写真)。 今日はうららかな春の日和だ。 一時、原発のことを忘れて近所を散歩する。 トウダイグサが咲いていた (写真)。 きのうのホトケノザの 写真は、 小動物の子供たちが巣穴から顔を出して、それぞれに周囲の様子を 伺っているように見えないだろうか。
そもそも、 ものごとを安全か危険かのどちらかに分類し、わずかでも危険なものはすべて排除、 という考え方は合理的ではない。 ハザードの深刻さと発生確率とからリスクを定量的に考え、さらにそのリスクを 回避することにともなうコストやデメリット(新たに生じるリスクなど) を考えて行動を選択しないとけない。 たとえば、今の場所にとどまって20年後の発がん確率が0.1%上昇することと、 交通事情が悪いなかで1日かけて移動するあいだに体調が悪化することと、 体が弱っている高齢者にとってどちらが優先的に避けるべきリスクか。 あるリスクを避けようとして別のリスクを増やしてしまう リスクトレードオフについて、 林岳彦さんが解説されている( 一人でも多くの人命を救うために:リスクトレードオフについて考えよう)。
世になんの憂いもないかのごとく、春の花が咲いている たとえばシキミ、 ホトケノザ。
昼からゆるゆると学会関係の仕事など。 そのあいだにも、気になって原発の状況をチェック。
最初の計画停電の実施地域に茨城県鹿嶋市が含まれたなど、 茨城が被災地だとの認識が薄いのは、 地元テレビ局がないので現地からの映像がメディアに流れないからだとも言われる (その後、さすがに計画停電の対象からは除かれた)。 調べたところ、東北・関東で地元テレビ局がない県は茨城だけだということが判明。 知らなかった。
つくばは、昨日、今日と冷える。市内の体育館に避難されているかたがたもいるのだが。
構内のウメの写真を一枚(写真)。 花は変わらずに咲いている。 それが心を落ち着かせる。
つくばではガソリンがなかなか買えない状態が続いている。 ガソリンは家に貯めておけないので買いだめに限度があるから、 やがて落ち着くものと期待。 買い物をしているスーパーでは、しばらくパン、牛乳、肉類、乾めんを見なかったが、 きのうは肉とパンが出現。いっぽう、豆腐系が姿を消した。
リスクは、ハザード(危険そのもの)と、その発生確率とに依存する。 ハザードを小さくすることも、発生確率を小さくすることもリスクの低下につながる。 交通事故での大きなハザードは人体の損傷で、その最大のものは死亡である。 シートベルトはハザードを小さくする。 一時停止して左右の安全を確認することは、事故の発生確率を小さくする。 いずれも交通事故による人的被害のリスクを低下させる。
ハザードとリスクは分けて考える必要がある。 パンや牛乳が買えないことは(他の食べ物があるなら) 微々たるハザードなので、 その回避に大きなコストをかけるのは適切ではない。 むしろ、それらがないことがより大きなハザードとなる(手元になにも食料がない)人に 回るように配慮するべきだろう。 また、頭上に隕石が落ちてきたら本人には大変なハザードだが、 発生確率がとても低いので、隕石を怖れて室内に閉じこもるデメリットとの バランスを考え、日常的にはそのリスクは考慮しない。
いわゆる「最悪のシナリオ」は、最大のハザードに相当する。 正体が分からないおばけは、ハザードが明示されないことで恐怖感を増す。 最悪の事態を知っておくことは、対処を考える出発点だ。 福島原発が「最悪のシナリオ」を辿っても、 つくばが一刻を争って逃げ出さなくてはいけない危険地帯とはならない。 逃げ出すためのガソリン確保に奔走することは、個人的な視点でも合理的ではない。 もちろん、車がないと日常の不便は多々ある。人によっては それがなんらかのリスクの増加につながるだろうが、 そうでないならば、被災地に回す燃料の確保に貢献するほうが、マクロに見れば プラスだろう。
以下、農環研の 大澤さん から依頼を受けて転載。
有志で被災地の航空写真をGISで使える形式に整備し(位置情報を与え)、 web経由で利用できるようにしました。(中略) 幾何補正した空中写真を、 防災科研と近中四でWMSとして配信していただいています。 地震に関連した利用について、地理院が出典であることを明記するだけで 自由に使えます。今後さらにカバー範囲は増えていく予定です。 ぜひ対策に役立たせてください。 ( 近中四, 防災科研 )
WSM (Web Map Server Interface)により提供される画像 情報は、 GIS 使いの人ならすぐに利用できます(私は違うけど)。 (フリーの Quantum GIS で利用する場合の 参考ページ ←私はこれを見て試してみました)。
常磐線は上野から取手まで運行。 つくばエクスプレスは朝と夜のみ運行(午前8時過ぎから停止し、再開は夜9時から)。 ガソリンはほとんど買えないし、平常復帰はまだまだ。 ガソリンのほかにもいろいろ買えないものはあるが、 買えるものもいろいろある。その範囲で暮らすのみ。
職場では、きょうも電気や水の復旧作業が続く。昨日の段階では、電気は まだ1〜2割程度の復旧とのこと。動力電源はこれから。 総務が貼りだした注意書のなかに、「飛び交う情報に注意。 いつ、どこで、だれが言ったことかを確認しよう。 「きっと…」「多分…」という反応だったら要注意」とあった。
朝、出がけに庭のサンシュユの花を撮影 (写真)。 小さな花火のように咲いている。 被害状況以外の写真を撮るのは久しぶりだ。
つくばでの環境中の放射線線量のデータ果を、高エネルギー加速器研究機構が 公開している (つくば(KEK)の線量)。 平常値よりは高いが、現在の0.2マイクロシーベルト/時の放射線がこの先1年間続いたとして、 総被曝量は1.75ミリシーベルト。
茨城は計画停電の対象エリアからはずれたそうだ。 職場の電気は徐々に復帰中で、私がいる一帯は、 午後4時過ぎに照明と壁のコンセントは復旧した。 ネットにも接続できる。 水はまだで、明後日以降の復旧になりそうだ。
相変わらず、職場(国立環境研究所)は大部分で停電中、水も止まったまま、冷暖房のラインも ストップ。また、計画停電が朝と夕方の2回に設定されており、サーバーは復旧したものの 当分、実働は昼間の数時間程度になりそう。 所帯が大きい研究所なので、外部からの通電が開始されても、所内の30箇所近い二次変電施設を ひとつひとつ点検しながら通電していくと、全部で数時間かかるという。 夜、8時半に外からの電気供給が回復してから数時間かけて所内の通電作業をし、すぐ翌朝の6時20分までに また停電の準備をするという作業を、施設の担当の方が4月末まで続けるのはとても現実的ではない。 なので、夜の通電はごく一部に限らざるをえず、いくつかの建物では 実質的には1日に数時間しか電気が通じない状態が当分続くことになるようだ。
…という状況を前提にした相談を今日はしていたのだが、 今、東電のページで確認したら、第1グループから第5グループそれぞれの停電の時間は 日々変化するのだそうだ。なんと… これでは先の計画が立たない。 やはり、電気は通じたらみっけもの、と考えるしかなさそうだ。
ネットにつながらず、そもそもコンピュータを動かす電気もない状態で、人や施設の安全確認や、 とりあえずできる片付けをしたあとは、なにもすることがない一日だった。 明日からは、充電して持っていったノートPCが生きているあいだは書き物、あとは本を読んで 勉強するぐらいか。
つくばエクスプレスが動く時間はごく限られ、14時半に全線が止まって、再開は21時。 東京での会議が中止との連絡がいくつか入る。ありがたい。
職場は停電中で、職場のサーバー経由でのメールも受け取れません。 復旧は月曜以降です。gmail は受け取れます。takenaka.akio のあとに gmail.com です。
いつか、ずっと将来にここを読み返して、なんのことか忘れているといけないので加筆。 2011年3月11日午後2時46分ごろ、 東北地方太平洋沖地震が発生。 マグニチュード 9.0。最大震度7。つくばは震度6弱。 地震そのもののほか、津波の被害が甚大。また、福島第一原発で事故。 3月15日の時点で、国際原子力事象評価尺度でチェルノブイリ(レベル7)に次ぐ 「レベル6」に相当との見解。
きのう、今日と好天で、庭の植物の写真を撮るのも楽しい。 スイセンから始まって、球根性の園芸植物が順次咲いていく。 いまはクロッカスが花盛りだ (写真)。 もっと地味なところではアセビ (写真)。 かなり赤みが強い株だ。 さらに地味に、ダンコウバイ (写真)。 クスノキ科の花は地味だ。 これからサンシュユ、シキミ、ヒュウガミズキなどが続くはず。
今週から再来週のはじめにかけて、あれこれと出張や会議が続く。 最後の山と思って乗り越える。
今年度の残りは4週間。5年の任期もあと4週間。
シダの新葉の渦巻は何度も載せた (過去の写真:コシダ、 ウラジロ、 クジャクシダ、 ベニシダ、 クサソテツ、 オニヤブソテツ)。 ところで、バイオリンやビオラ、チェロなどの弦楽器は、英語では fiddle と総称されるが、そのネック(胴体から伸びたところ)の先端(head) には、渦巻状の飾りが付いている (写真− バイオリンを弾くかたにお願いして撮らせていただいたもの)。 これに見立ててシダの新葉の渦巻を英語では fiddlehead と呼ぶ。
日本では、植物のゼンマイが先にあり、渦巻状のばねを これに見立ててぜんまいばね、略称ぜんまいと呼ぶ。
…以上、シダの雑学でした。 さらにシダ関係で、先日教えてもらった雑学。 もしも私が羊歯(しだ)だったら という曲があるのだそうだ。もしも私が鳥だったら… という発想はよくあるが、シダ! どんなよいことがあるのかというと、彼女に敷いてもらいたい、ということでした。 なるほど。
スギの花粉がまき散らされているはずで、たしかに喉がちょっとガラガラしたり、 目が少しかゆくなったり、鼻がつまり気味になったりするが、数年前と比べると はるかに症状が軽い。自然治癒に向かっているのか。 本当にそうなら幸運すぎて、申し訳ない気がする。 自然治癒率はせいぜい1〜2割ほどだと言われているのに。 自分の努力が及ばないことはほぼ確実に思い通りにならないものだと、 子供のころから刷り込まれているので、気持ち悪い。
生き物の分布データの二次メッシュ(2万5千分の1の地図に対応)べースでの解析結果を示すのに、 二次メッシュをぺたぺたと描画して日本地図を描くR の描画関数を自分で作っていた。 プログラムから呼び出して、数百枚の地図を一気に作成することもできる。 GIS ソフトを使えばずっときれいな地図が描けるのだから、 とても限定的な用途しかないだろうと思っていたが、これはこれで手軽でよいと言う人もいる。 その気になって、コードを整理したり、ちょっと拡張したり、デモ用プログラムとデータを 用意したりして公開した (紹介ページ)。 需要があるかどうかは分かりません。