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2004年 8月

2004-08-31

この先しばらくは,学会でしこんできたことのフォロー,次のお座敷の準備, 論文書きなど,盛り沢山の日々となる予定.

クズの茂みのそばを歩くとモワッという香りがする. クズの花の季節.

学会に行ってるあいだに, 私の研究室がある建物の前のアカマツが 根元から伐採されていた. なぜ切られたのかは不明. 年輪を見ると, 20年余りまえから急に年輪幅がひろくなっていて,その前数十年はかなりせまい. この建物の建設地にあったアカマツ林のなかで まわりの木に囲まれてゆっくり育ってた木が, 一本だけ残されて日当たりがよくなり,成長が早くなったのではないかな.

釧路空港のまわりで撮った写真をいくつか. ノコギリソウオオミミナグサヤマハハコナンテンハギハナイカリ. まちがってたらご指摘ください. ハナイカリはこれでリンドウ科.たしかに葉はそんな感じがただよっている.

写真が多いのは,新しいデジカメを買ったのがうれしいからです.

2004-08-30

昨日,生態学会から帰還しました. 帰る日は,昼過ぎの飛行機まで時間があったので,午前中は宿で学会メモをつらつらと書く. 誰と会って何を話したとか,どんな発表を聞いて何を思ったとか,どんな約束をしたかとか. 書かないとたちまち忘れてしまい,もったいない (>宴のあとに:学会が終わってからやること).

チェックアウトしてから空港へ.昼食のあと,飛行機の出発まで2時間もあるので, 空港の外の散歩.いかにも北海道らしいカシワが優占する林のへりを歩きながら 秋の花の写真をとったりしているうちに,たちまち1時間半もたってしまい, あわてて空港へ戻る.新調したデジカメは,画面全体に平均に焦点をあわせるのでなく, 中心一点であわせるように設定できるので,植物の写真がとりやすい. たとえば キツリフネの花とか, とか, それがはぜたところとか(ツリフネソウは ホウセンカの仲間).

こんどの学会では若手の優秀なポスターに ポスター賞が おくられた. 審査は,まず見た目の分かりやすさで足切りしてから内容や発表技術を 審査するという形式.どうしても一枚印刷のほうがみてくれがよいし, 配列の自由度が高いので有利か.でも,台紙に張りつけ方式でも十分対抗できるとは思う (私のはその形式).

わたしも審査を担当. みんなが集まってきて混みはじめたら大変だから,発表時間が始まる前に, ほかのシンポを途中で抜けて,まだすいている会場でゆっくり見て回る. ふつうだったら話を聞かないようなポスターも,審査の担当になってると ちゃんと見たり話を聞いたりする.するとこれがけっこうおもしろいんですね.

審査の集計が終わった分野から,どんどん優秀ポスターの表彰をしていく. 担当スタッフ数人がポスターのところに行って,賞状を渡している.まわりの人も ぱちぱちと手をたたく.「賞状なんて小学校以来です〜」などと言いながら 喜んでいる受賞者の様子をみると,見ているほうもうれしくなる. 来年以降,審査員が確保できるかなどいろいろ課題は あるようだが,がんばって続けたほうがよいのかなあとも思う.

自分も最終日に ポスター発表. 昼食の時間もとれぬまま,ほぼ4時間にわたって説明を続けた. 5分あまりの説明と,その後の質問やディスカッションを繰り返す. 血糖値が低下して途中で倒れるんじゃないかと思ったが, なんといってもお客様第一なので説明に励む. 説明したり,質問に答えたりしているうちに,論理が整理されていったり, 話の弱点や展望だのが見えてきたりする.おいでいただいた皆さん, どうもありがとうございました.

2004-08-24

釧路の航空券を 3日前に手配した すごい人は,じつは気にしぃなので 前夜は羽田泊だという. でも,羽田発7:15の函館行きでしょう. 始発の常磐線でも,ひたち野うしくを5:29に出て浜松町着が 6:44 だし, 直通バスの始発だって時刻通りに走っても羽田着が 7:10だし. 気にしぃだとかいうことじゃなくて,泊まらなきゃ物理的に無理だ.

思い出すのは,1987年,沖縄で生態学会の大会があったとき(> 過去の開催地 ).ちょうどつくばから東京への直通バスが走りはじめた. 大会前日,みなの移動日がちょうどバスの開通2日目ぐらいだった. これは便利だと思った人たちは,東京まで1時間半という時刻表を そのまま信じてバスに乗った(もちろん心配性の私は電車です). 当然,日中の首都高を予定通りに走りぬけられるはずはない. これでは飛行機に間に合わないと気付いた一行は,渋滞する首都高の上で バスからおろしてもらい,非常階段をおりて電車で羽田に向かって ぎりぎり間に合った. なお,首都高の途中でおろしてもらえたのは運行開始直後だけのことだった. なつかしい思い出である.

明日より釧路に行ってまいります. 長袖を忘れないようにしなくちゃ.

2004-08-23

生態学会の準備はおおよそできた.論文書きを再開しようと思ったけど, 学会までの2日間ではたいした進展はなさそうなので,それ以外のいろいろを できるだけ処理して達成感を味わうことにする.

PowerPoint 巨大ファイルの話に関連して, 森林総研の 正木隆さん から情報をいただく.正木さんは pdfFactoryというシェアウエアで PowerPoint のファイルをPDF 化してサイズを小さくしているとのことです. 制限なしの無料お試し版あり.

生態学会が開かれる釧路は宿も交通もキャパシティが限られるから, 心配性の私は2ケ月まえに予約してしまったのだが, いっぽうで 3日前に手配する というすごい人もいる.

2004-08-20

PowerPoint というプレゼン用ソフトで作られたファイルはしばしば巨大である. とくにビットマップデータを貼りこんで作ったファイルがいけません. 実験してみたところ,貼りこんだ画像の見た目のサイズを小さくしても, ファイルサイズはまったく小さくならないし,もとの解像度で表示させれば もとどおりの画像が復元できる. ファイルには,縮小画像のデータが記録されるわけではなく,もとの画像データに加えて 表示サイズと表示位置という情報が記録されるようだ. だから,もともと 3600 x 2400ピクセルの写真を 360 ×240の大きさで表示させる場合, 必要な情報量の100倍のデータがムダにファイルに詰め込まれてることになる.

少々大きくても実害がないならいいけど(私は気持ちわるいけど), あまりにでかいと読み込みに時間がかかるし, 人とやりとりするにも重たい. こうしたムダを避けるには,画像加工用のプログラムなどを使って, おおよそ表示サイズに合せた解像度してから貼りつければよい. 私は BTJ32 というフリーソフトを愛用しています.

2004-08-19

小学生のころに読んだムーミンのシリーズを高校2年のときに読み返したら, 「一番たいせつなことは,なにをやりたいか自分で知ってるってことだよ」 というようなスナフキンのせりふがズキっときた. ぜんぜん重い場面ではなかった(この場面での「やりたい」ことは,毛糸にくるまれて 眠ることだったと思う)けれど,将来なにがやりたいんだか分かってなかった 当時の私には重いせりふだった. それ以来,なにがやりたいか自分で分かってるのかときどき考えるようになった.

10年以上前のこと,ある管理職の人が,やりたくないけど立場上やらざるをえないことが 多くてつらいと泣き言を言ったのに対して,その人のもと上司が, 「ほんとにいやならやらなきゃいいじゃないか.なんだかんだ言ってもやってるってことは, やりたくてやってるんだろ」と答えた. たしかに,サボるという選択だってある(それなりの覚悟は必要だけど)のに それをしないのは自分の判断だ. なにかをいやいややらされて大変だというような愚痴を言うのはやめよう, 言うぐらいならやめちまおうと思った.

『動物のお医者さん』のなかで「こんなおもしろそうなこと(犬ぞりレース)を 漆原教授が見逃すはずがない」というところがあった.そうだ,おもしろそうなことは 見逃しちゃもったいない,と思った.

というわけで,全然義務ではないけどおもしろそうな仕事(研究そのものではない)を, わざわざ手を挙げてやりたいと言ってみた. こんなおもしろそうなことを他人がやってるのを見るのはつまらないから. まもなく,やらせてやろうという返事をもらった.

2004-08-18

自信の持てない論文の構想について掲載予定の特集号の元締め氏に相談して, 少し展望と自信を回復した.

あちこちを整理すると,後回しにしていた小仕事がぽろぽろと発見される. あまり急ぎでないものは見なかったことにしてみたり, すぐ片づくものはさっさと処理して達成感を味わったり.

来週からの生態学会にあわせて刊行というもくろみだった植物生態学の教科書の, 私の担当分の初校が届いた.というわけでもちろん学会には間に合わない. 出版社が用意した書名は「植物生態学全書」(仮).「全書」とはあまりに大風呂敷だ. 元締め氏(上の元締め氏とたまたま同じ人)に言ったら,「善処」しましょうとのこと.

2004-08-12

多量の図をながめつつ,論文の筋立てを考える. すっきりと主張できることは,よく考えると当たり前のことのような気もするし. ごちゃごちゃした中に当たり前でない発見がありそうな気もするのだが, やっぱりごちゃごちゃしている. 本日午後からの不在のあいだもシミュレーション計算は続けてもらって, 来週もっと考えよう.来週は学会の準備もある.再来週は学会で, 帰ってきたらあと2日で8月が終わってしまうじゃないか.

例年,早春と真夏の2回,職場に献血バスが回ってくる. 大学院のころ,自分はだれの役にも立ってないなあ,献血すればだれかの役に 立てるだろうなあと思って大学の前で献血したのが最初で, おとといの献血で通算39回目になった. 採血専門のみなさんは針の刺しかたがじょうずで痛くない.まえに 非専門家(たしか内科の人)に採血されたときは,いつまでも痛いし血もなかなか出なかった. じっとがまんしてたが,あんまり血が出ないので,おかしいわねえと言いながら 針をちょっと引いたらたちまち流れがよくなった.針が血管を突き抜けてたということ. なにごとも専門家だなと思った.

2004-08-10

優先順位がいまのところ1番の作業(論文書き)のために 多量の図を描いて眺める作業を進める. いちいち手作業では時間かかるしまちがえるし楽しくない. 前にも書いたように こういう作業には R です.

あいまにぽつりぽつりとシベリアのスライドの読み取り. ずいぶん前からやってるが,もう900枚以上を読み込んだ. あと300枚ほど.今日の一枚はロシアの研究者が飼っている本場のシベリアンハスキー. エニセイ川の支流の河原にて(>写真).

2004-08-07

自分としての優先順位は低いけど,やらないと人に迷惑がかかる仕事をひとつ片づけるために 休日出勤.ほんとは,そういう仕事は最初から引き受けないのがよいのだろうけど.

久保さんに教わった, 素晴らしきハッカー(by Paul Graham, Shiro Kawaiさん訳)から引用 (※もちろん,ここでいうハッカーはクラッカーのことではくて, 独創的ですぐれたプログラマのこと).

良いハッカーになる鍵は、たぶん、自分がやりたいことをやることだ。 私が知っている 素晴らしいハッカーを考えてみると、彼らに共通することの 一つは、彼らが自分から 望まないことをやらせるのは極めて難しいだろう ということだ。これが原因なのか、 結果なのかは定かではない。もしかすると両方かも しれない。

何かをうまくやるためには、それを愛していなければならない。 ハッキングがあなたが やりたくてたまらないことである限りは、 それがうまくできるようになる可能性が 高いだろう。14才の時に感じた、 プログラミングに対するセンス・オブ・ワンダーを 忘れないようにしよう。 今の仕事で脳味噌が腐っていってるんじゃないかと心配して いるとしたら、 たぶん腐っているよ。

ふむ.私の脳味噌は腐っていってるか?

以前にもここで書いたけど, Eric Raymond のインタビュー のはじめのほうでも似たようなことを言ってますね. 「多くの人は,興味はないけどやらなくちゃいけない(と自分で思っている) 仕事に時間を 使っているが,私はそういうことはしない」とか, 「ほんとに好きで興味があることだけに集中したら,そのことがほんとに 得意になる. ある仕事がほんとに得意であれば,それによって収入を得る機会もある」とか.

2004-08-06

釧路の生態学会 まであと3週間を切ってしまった.ポスターを作り始めないとと思いつつ, 9月半ば〆切の論文原稿のほうが心配で優先順位をあげてある. 優先順位が3番や4番や5番や6番のお仕事には心のなかでそっと頭を下げる.

学会の大会運営の準備作業のなかには,前々から決めておくほどのことではないけれど, 大会までには決めないといけないこと,やらないといけないことが細々とある. いまさらだが,去年の生態学会時の 直前進行管理表打ち合わせメモを掘り出して, 大会運営メモのコーナーに加えた. 実行委員会内輪連絡ページは外には出さないつもりだったけど, むしろこういうメモこそ有用だったりするかもしれない.

2004-08-05

日々,多量のスパムメールが届く. いまさらだが,メールアドレスを自動収集されないように画像データに置き換えてみる (こんなふうに> 連絡先). 読み上げソフトでは認識できないから言葉の説明もつける. はたしてこのページを聴いてる人がおられるのかどうか分からないけれど, 文字だけですむ情報を画像で表示するのは このページのデザインの方針に合わないし.

論文書き(の準備作業の段階だが)は少しずつ進展中. これはおもしろい,ぜひ読んでくれ!という盛り上がりがいまひとつなのが問題だ. 書いてる本人がおもしろいと思わないものを, 他人がおもしろいと思ってくれるわけがなかろう. よーく考えて,おもしろさを自分で納得すること.

2004-08-03

朝の畑に咲くオクラの花(写真). いかにもハイビスカスと近縁らしい.

本を出したら読んでほしいし,CD 出したら聴いてほしいだろう. それと同じで,ウェブに文章を載せたら読んでほしいし, プログラムを公開したら使ってほしい. 文章は読まれてなんぼ,プログラムは使われてなんぼだと思ってるから, 私が公開してるプログラムを利用した研究が論文になったなどと聞けば たいへん嬉しい. きのうはそんな論文受理報告メール (拙作CanopOnを使っていただいたそうな) をもらって,やや下降気味だった気持ちが少し上向く. 点過程の解析用プログラムも使っていただいてるとか. ありがとうございます.

2004-08-02

今朝はうっかりお手許用メガネを家に忘れて来てしまい,慌てて取りに帰る. メガネがないと論文が読めません.

8月から9月にかけてさまざまな〆切だのお座敷だのがあるのに加え, 今月末〆切のあらたな御用の命が届く.はたして不義理をせずに それぞれ処理することができるか予断をゆるさず.

ちょっと気分転換にシベリアの写真シリーズ. レナ川の下流(写真). 川と空とが溶け合うところ.

2004-08-01

きのうは生態学会の講演要旨の目次なぞ作って遊んでしまったので, 今日こそ論文書きに取り掛かるべく,ふたたび休日出勤.

お,さすがだ.大会実行委員会の 久保さんが, ちゃんとした要旨集を作ってさっそく公開された (> JES51 講演要旨集). これで,私のきのうの努力はなんだったんだとがっかりするかというと, 全然そんなことはなく,プログラム書いて遊べたことでじゅうぶん満足なのだ.


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