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2005年 4月

2005-04-30

矢原さんの日記 ( 4月19日) に反応して,なぜ私は生き物の多様性を減らしたくないと思っているかを ちょっと書いた. ようするに好きだから. 10日ぶりに書かれた矢原さん自身の答え ( 4月30日) も,ほぼ同様なものだった.

以前に書いたことの繰り返しだけど,絶滅したらいやだと思う人が少なからずいるなら, それだけで守る理由としてじゅうぶんだと思う. そんなの科学的でない,好き嫌いの価値観だけじゃだめだと言われるかもしれない. でも,価値観だということは否定の理由にはならない. あるものを大切だと思い,失いたくないと思う. その価値観を共有する人が多いなら,社会全体でそのためのルールを作ったり, 税金を使ったりすればよい. 人の命を大切にしたいというのも価値観であって科学的真実ではないけど, 命を守るために税金を使うことはみんな認めている.

私の職場は,環境問題の研究がしごとだ.そんなところでも, 生物の保全の研究はいまいち受けがよくない. 生き物が絶滅すると人間がどう困るのかを示すのが先でしょうと言われたりする. おなじ研究資源をとりあう利害関係者だから,という背景もあるかもしれない.

ともあれ,そんな批判にこたえようとして,むりに生態系機能だの生態系サービスだのを 持ち出したくない(と言いつつ, 職場の広報誌に 生態系サービスの解説を書いてたりするんだけど,まあこれは業務). 人の役に立とうと立つまいと,いろんな生き物が地球のあちこちで生きていることがうれしい.

…つい,がらにもなくまじめに書いてしまった. あちこちの意見表明系ブログに影響されたか.

2005-04-28

4本目の査読を引き受けますと返事を出した.前に一度見たものの改訂版だったし. それにしても4本たまって,連休の宿題だと思っていたら, 今朝のメールで「すみません,あれは手違いでした,担当編集者が受理の判断をしたので, 見なくていいです」だそうだ. 労せずして宿題がひとつ減った.

写真を何枚か. ヤツデの芽吹き がおもしろい. ブロッコリーの花 は菜の花より控え目な色がよい. イチョウの新葉 がみずみずしい.

2005-04-26

投稿論文の査読の依頼が続いて,3本たまった.こりゃまずい,そろそろ やらねばと思っていたところへ4本めの依頼が来た. とにかく今日中に一本済ませてから,4本めを引き受けるかどうか 返事することにしよう.

オンライン審査のために必要な情報を探してるうちに, また別のオンライン審査のための ID と パスワードを発見. なにを審査するんだったか覚えていない.まずい. 論文ではないなにかだ. いっしょに記録してある URL にとにかくアクセスしてみる. そうだ,こんなのあったよ,と徐々に思い出す. 〆切は明日だ.あぶないところだった.

…で,必要なファイルをダウンロードしようとしたところで,2週間前に 審査して結果も登録してたことを思い出した.むだにあわててしまった.

2005-04-25

きのう,おとといと心地よい天気の週末だったようだが,2日間とも会議室の中で すごしてしまった.おとといのシンポジウムは 矢原さんの実況 にくわしい. きのうの会議は背広率が高く,私にはあまりそぐわない会議だった気がする.

先日,ある知り合いから10年ほど前の私の写真が送られてきた. 屋久島に調査にいったとき,宿で撮った写真のようだ. 口にはサカキの枝をくわえている.両の耳には殻つきピーナッツがぶらさがっている. 殻のはじをちょっと割って耳たぶをはさむ,あれです. ふつう,いい大人はあまりやらない. でも表情はなかなかよい.おだやかな笑みをたたえ,色気すら感じられる. よい写真をありがとうございます. もちろんここには載せません.

…背広率の高い会議の話にもどって,ここで出た宿題に対応するために, Effects of biodiversity on ecosystem functioning: a consensus of current knowledge というレポートを読みはじめた.具体例がほとんど出てこない総説は読みにくい. 引用されてる研究をおおよそ知ってる人ならすらすら読めるんだろうけど. やっぱり私にはそぐわないということではないでしょうか.

2005-04-22

このところ季節の進みが早い.植物の様子がどんどん変わる. コナラの毛だらけの芽吹きが白く光り (写真), クヌギの黄色い雄花序があまり美しくなく垂れ下がり (写真), アオキの地味な花はそろそろ盛りをすぎている (雌花の写真,撮影は1週間前).

あすは 生態系・生物多様性研究国際シンポジウム に招集されている.あさっても東京で会議. あまり楽しくはなさそう.

2005-04-20

矢原さんの 4月19日の日記 に, 『生物多様性はなぜ大切か?』という本を読んだけど,あまり説得力がなかったと 書かれていた.わたしの職場での研究の方向をめぐっても,こういうことが議論に なってるので,思うところをちょっとまじめに書いてみる.

わたしは,今,生物多様性研究プロジェクトという組織で研究をしている. プロジェクト全体は,どう保全するかという方向を向いているが, そんなんじゃだめだ,多様性がなくなるとどう困るのかを研究しろ, という声もあちこちから聞こえる. 「なぜ大切か?」にまず答えろということ.

わたし個人としては,何十億年の生き物の歴史を経て,いま自分がここで生きてること, まわりにいろんな人がいること,いろんな生き物がいることは,どれも得がたいことで, 大切にしたいと思っている. よく言う「生物多様性」ってのは,ようするに地球のあちこちに いろんな生き物がいるということですね.それが好きだとか, 大切にしたいとか思う人が少なからずいるのなら, それを残す努力のために税金が使われるのはぜんぜん不思議ではないと思う. でも,別に好きじゃないよというという人や, ただ大切にしたいというだけでは税金を使う理由にならない と考える人もいるだろう. 3年前の職場の内部監査 で,そのことをあらためて認識した.

生き物の数や種類がへるとこんな困ったことが起こるから保全しなきゃという論理で 説得しようとすると,絶滅しても困らない種類はほっときましょうということに なりかねない.今の科学では,1種でも絶滅するとなにがおこるかたしかなことは 予測できないから,すべてに手を触れてはいけないと主張すると, まったく対話ができないから,相手にされなくなりそう.

わたしは,生き物のおもしろさを語って,生き物がいないのってつまんないよなと感じる 自然のファンがふえたらいいなと思っている.甘いけど.

2005-04-15

今週は,森林動態のシミュレーションプログラムを動かしている. 理屈のうえで,こういう場合にたくさんの種が共存しやすいと 示すだけでなくて,ある林が「こういう場合」にあたるかを知るには どんなデータが必要かをさぐる. とろうと思えばとれるようなデータで,というのが狙い.

スギ花粉はそろそろ終息か( 4月14日までの累積飛散状況 ).どこで薬を飲むのをやめるかの判断がむずかしい. 薬をやめて症状が戻ると,それから慌てて薬を飲んでも数日はおさまらない.

ところで,プロバイダーのディスクスペースを借りて自分のページを作りはじめたのが 1999年の4月.あれからちょうど7年, 足かけ2世紀にわたって少しづつ書き足してきたことになる.よく続いたもんだ. やめたくなるようなトラブルもなかったし, たま〜にいただく反応メールも励みになった. たま〜にいただくだけに,一通のメールのありがたみは大きい.

これだけ続くと,以前に書いた内容が時代遅れになったり, 外へのリンクが切れてたりといったことも多々あり. 時々見回って手入れをしないといけないが,サボり気味. 今週は 聞き手と触れあうポスター発表のために に手を入れました.

2005-04-12

ことしの3月に京都大学を退官された 菊沢喜八郎さんのページ (まだ京大のサーバ内に生きてる)にある 画集が本になりました. ポケットにスケッチブック − 生態学者の画文帳. やわらかいタッチの絵と淡々とした文章があわさって,よい感じの一冊. こういう絵が描けたら楽しいだろうな.

その中に,「深草の野辺の桜し心あらば」と題された1章がある. 「今年ばかりは 墨染めに咲け」と続く古今和歌集の一首で, 人の死を悼んで,桜に今年は喪に服して墨染めの花を咲かせよと歌っている. この章には,若くして逝った研究仲間たちの思い出が過剰な感傷を排した文章で綴られている. そのなかには私の知人もいた.その人からもらった最後のメールは いまもメールボックスに残してある.

2005-04-07

通勤途上でデジカメをザックから取り出してポケットに突っ込むと, 被写体を求めてまわりの植物に目が行く. 植え込みの ヒュウガミズキ.本来はもっと西のほうに分布してるもの. 道端で フキが咲いてた.ふきのとうが伸びたやつ.

サクラもだいぶ開きはじめたが,ソメイヨシノの並木にはあんまり心引かれない. サクラは,山のなかでまわりの落葉樹の芽がようやく動きはじめたころに 浮かび上がるようにポツリ,ポツリと咲いているのが趣深くてよろしい.

2005-04-06

植物はどんどん春のよそおい.歩道沿いに咲いていた タチツボスミレ(だと思う).

生態学会のポスターは布に印刷します と書いておいたら,私の発表内容よりも ポスターの材質に興味を持って,説明中にポスターの端っこをつまんだりなでたりしている 人がいた.学会の直後に目からうろこを落とす手術をうけた 酒井さん (東北大). 3月29日の「進行状況」に, 「さりげなく触ってみたけれど、やはり紙の感じがする。 謎だ」 書かれていますが,あれでも布です.たたむと折り目がついちゃうけど. 布の質にいろいろあるようで,いくら折っても折り目がつかないサンプルを業者から もらったことがある.次回はそちらをためしてみるので, またすりすり触りに来てください. 会場に風呂敷包みを持ってきて,風呂敷を広げたらそれがポスター, 終わったらまた風呂敷にして引き上げる,というのをぜひやってみたい.

2005-04-04

ふだんは自転車通勤だが,スギ花粉の季節だけは花粉を避けて自動車通勤.でも, いいかげん飽きたので,きのうは歩いて帰り,今日から自転車にする.季節の変化が 感じられて楽しい(今朝は雨だったけど).いろんな植物が芽吹き始めたり, 花をつけたりしている.

ときどき,木にも花が咲くんですか? と聞かれることがある. 花とは草に咲くもので,木は枝葉が繁ってるだけ,一部にサクラとか ツバキのように花の咲く木という別ジャンルのものがある,と思ってる人がおられるようです. でも,花を咲かせて種子を作らない種類があったら,たちまち絶滅します. かなり大きくならないと花をつけないとか,毎年は咲かないとかいった 種類もあるので,どの個体もかならず毎年花をつけるというものではないですが.

あちこちに生えてて,かなりよく花をつけるのに全然目立たないもののひとつが 低木のヒサカキ.まず独特なにおいでヒサカキの花の季節になったことを知る. 近くをみまわし,ヒサカキがあったら,枝をひっくり返すと,みっしりと小さな花が 並んでいる.つくばでは,今がちょうど花の季節.雄花と雌花が別の個体に咲く, 雌雄異株です(去年福岡で撮った写真: 雄株の雄花 雌株の雌花). 鈴木新さん(大阪大学)のページにヒサカキを材料にした 研究の紹介がある.このなかの ヒサカキとわたしが楽しい.

東京・品川でのスギ花粉積算飛散量のグラフを更新( 4月3日まで).そろそろ終盤のはず.

2005-04-02

最近,友人の研究者が日記を閉じた.身分が変わって, これまでのような内容の日記は書きにくくなったことがその理由. 率直で真摯な思いを綴った日記だった.惜しいがやむなし.

私のページは,だれがいつどこで読んでも,あるいは私の立場が変わっても まずくないことしか書いてない. 3年後に読んで恥ずかしくなりそうなことも書かないようにしている. 最初から実名なので,匿名に隠れて書いてたことがバレて慌てることもない (参考:田崎晴明さんの 日々の雑感的なもの 2005-02-17 , 津村ゆかりさんの 実名で専門知識を公開するための工夫). 結果として私のページは毒にも薬にもならないものになってるかもしれないが, だからこそ私のような小心者も長く続けてこられた. もちろんこういう方針は人それぞれ.

2005-04-01

生態学会には聞きに来るだけで発表はほかの学会でしてるという人と話をした. ほかの学会とくらべると,生態学会は若い人が多くて活気があるそうだ. また,エラい人たちも一生懸命に自分の発表をしてて,若い人がどんどん質問 できるのもよいところだとも. ほかの学会にはほとんど行かないのでよくわからないけど,そうなのか. ほんとにそういう傾向があるなら,たしかによいことですね. というわけで,エラいみなさん,よろしくお願いします.

ポスター賞の審査では 30枚ほど見た.ポスター賞応募ポスターと そうでないポスターとを見比べると,応募ポスターのほうが力が入っている 傾向があったようだ.賞が励みになってるのだろう.審査は大変だが, 意義はあるのだと思った.

学会では,このページ見てるよとか, Perl のページ で勉強してさっそく今度の 発表の準備にも使ったよとか, 公開してるプログラム 使ってるよといった声をいただきました.自分のページを作りはじめてはや7年. こういう声にも驚かなくはなったが,ありがたさには変わりなし.


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